神道のお墓について

広報担当 ポラ子とリス実

2021年12月10日 12:00



◆神道について◆
神道とは、日本古来の神様を信仰の対象とする多神教のことを指し、
耕作や漁などを中心とした、自然と密接した暮らしを
続ける中で生まれた宗教です。

太古の日本では、自然のありとあらゆるものに、
神様が宿っておられると考えられていました。

こうした、八百万(やおろず)の神様への信仰に、
大陸から伝来した仏教や道教、
儒教などの影響を受けながら醸成されたのが、
現在の日本独自の宗教である神道なのです。

また、仏教の伝来した当時は、仏教の仏様も神道の神様も
「八百万(やおろず)の神の一つである」と共存して信仰され、
区別がはっきりとなされなかった時代もありました。

それを明確に「神道」「仏教」と、2つの異なった宗教として
分けるようになったのは、明治維新以降になります。

現代でも初詣や季節ごとのお祭り、七五三や神前結婚式など、
折に触れて神社に関わる行事が行われている日本には、
コンビニの数よりも多い、8万社の神社があるとされています。

◆神道と仏教のお墓参りの違い◆
神道式と仏教式のお墓参りでは、大きな違いがあります。

それは、仏教ではお墓に華やかな仏花をお供えするのに対し、
神式ではお墓に榊(さかき)の枝をお供えする点です。

榊は鮮やかな緑の葉を持つ常緑樹で、特に改まった場で使用される時は、
この榊の枝に紙垂(しで)と呼ぶ白い和紙を取り付けた、
「玉串(たまぐし)」が使われることもあります。

また、仏教式では墓前にお線香を焚きますが、
神道式ではロウソクを灯して、神饌(しんせん)と呼ばれる、
酒・塩・水・米などのお供え物をします。

また、現代ではご先祖様や故人様が、
好きだった食べ物やお花を、お供えするケースも多いようです。

ただし、その地方や地域、慣習によっては、
仏教式と神道式のお墓参りの区別が、曖昧になっている所もあり、
ご心配でしたら、霊園の管理者や年長者に確認をするのがよいでしょう。

◆神道のお墓の形や墓石について◆
神道の様々な祭祀を執り行っている神社ですが、
神道において死は「穢れ(けがれ)」と捉えられていることから、
一般的に、お墓を神社の敷地内や鳥居の内側に建てることはありません。


そのため、神道でお墓を建てる時は、その土地に代々ある
村墓地や宗教・宗派不問の寺院墓地、
民間の霊園、公営の霊園などにお墓を持つことになります。

神道式のお墓の形は、仏教式のお墓とあまり変化がありませんが、
先述したように、神道式では線香を焚くことはしませんから、
香炉は無く、玉串(榊)をお供えするための八足台があります。

墓石の形は、石の頭部分の角を落とした
四角錘のような形をしていることが多く、
この加工を兜巾(ときん)と呼びます。

この兜巾は、悟りを得るために山へ籠もって、
厳しい修行を行う山伏の身に着ける黒色の頭巾の形であるとか、
神道における三種の神器の一つ「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」
を模したものであるなど、諸説あります。

仏教式の墓石と明らかに異なっているのは、
墓石に刻んである文字の違いになります。

仏教では多くが「○○家之墓」など、家名を刻んであるのに対して、
神道では墓石に「〇〇家奥津城」「〇〇家奥郡城」と刻まれるのが一般的。

◆お墓参りの時期◆
仏教ではお盆やお彼岸のように、定期的にお墓参りを行いますが、
神道は「新盆祭・新御霊祭(あらみたままつり)」にお墓参りを行います。

これは、仏教でいうところの初盆や新盆にあたります。

その他にも、毎年やってくる故人様の命日である
「祥月命日(しょうつきめいにち)」や、仏教においては年忌法要である
「式年祭(しきねんさい)」に合わせて、お墓参りをします。